長らく着用していなかったスーツをクローゼットから取り出したところ、カビが生えているのを見つけてしまいました。
高価なオーダーメイドスーツにもカビがついてしまい、新しいものを買う余裕はないので、どうにかして除去したいです。
スーツは他の衣類と比べて価格も高く、自宅で洗うのが難しいため、カビがついた際には対処が困難です。
多くの方が、自宅でできるカビの除去方法を求めています。
急なビジネスミーティングや突発的なイベントでスーツが必要になることもあります。
そういった場合に備えて、すぐに取り組めるカビ除去の方法をお伝えします。
家庭でできるスーツのカビ除去方法
カビにはさまざまな種類があり、それぞれに合った除去法が必要です。
特に衣類に発生しやすいのは白カビと黒カビです。
白カビ
白カビは白くふわふわした見た目をしており、浅い根を持っているため、比較的簡単に対処可能です。しかし、根が浅いがゆえに、別の場所に移動させる際はカビの胞子が飛散しないよう注意が必要です。
黒カビ
黒カビは黒い点々として見え、繊維の深い部分に根を張るため除去が難しいです。自分で取り除くのが難しいだけでなく、クリーニング店でも除去できないことがあります。
白カビの除去方法
白カビの場合、その浅い根を利用して緊急対応で目立たなくすることができます。スーツを移動させる際には、カビの飛散を避けるためビニール袋に入れることをおすすめします。
ウール・シルク・ポリエステル用の対応策
白カビは50度以上で死滅するため、まずはタオルで表面のカビを除去し、その後アイロンを利用して隠れたカビも死滅させます。
必要なものは、30~40度のぬるま湯、タオル、アイロン、そして当て布です。
カビを落とすために、外でティッシュなどを使って払い落とします。これはカビの胞子を飛ばさないためです。
次に、ぬるま湯に浸したタオルを絞り、軽く叩きながらカビを取り除きます。擦るとカビの染みが広がる可能性があるので、叩くようにしてください。
表面のカビを取り除いた後、見えないカビも死滅させるためにアイロンをかけます。生地を保護し、光沢を出さないよう、必ず当て布を使用してください。
ウール、シルク、ポリエステル素材のスーツについたカビを消毒アルコールで取り除く方法をご紹介します。
必要なもの
消毒用アルコール
柔らかい歯ブラシ
ヘアドライヤー
手順1: カビの粉末除去
まず始めに、ティッシュを使ってカビの粉末を払い落とします。この作業は屋外で行うと良いでしょう。これにより、カビの胞子が室内に広がるのを防げます。
手順2: アルコールによるカビ除去
次に、歯ブラシに消毒用アルコールを吹きかけ、カビのついた箇所を優しくブラッシングします。この方法でカビを効果的に取り除くことができます。
手順3: 乾燥
最後に、ヘアドライヤーを使って、処理した部分を完全に乾かします。
黒カビの場合
黒カビを除去した後も、色素が残ることがあります。これに対処するためには、酸素系漂白剤の使用を検討することになりますが、黒カビの除去は専門的な技術が必要です。ここで紹介した方法は、カビを目立たなくする一時的な対応と考えてください。
酸素系漂白剤には粉末タイプと液体タイプがあります。粉末タイプはカビに強いアルカリ性で効果がありますが、ウールやシルクのようなデリケートな素材には向きません。そのため、動物性繊維のカビ取りには、繊維を傷めにくい酸性の液体タイプが推奨されます。
しかし、スーツは基本的に洗濯を前提としていないため、漂白剤を使う場合は注意が必要です。使用する前に目立たない部分で試し、問題がなければ本格的に使用してください。
ポリエステル素材のスーツについたカビを取り除くためには、粉末の酸素系漂白剤を使用する方法があります。
必要なもの
粉末酸素系漂白剤
30~40度のぬるま湯
タオル
ヘアドライヤー
カビ取りの手順
漂白剤を使ったカビ拭き取り:
最初に、粉末の漂白剤をぬるま湯に溶かし、その液にタオルを浸してよく絞ります。そのタオルで、黒カビがついた部分を優しく叩きながら拭き取ります。
手順1:漂白剤の除去
次に、清水に濡れた新しいタオルで、先ほど塗布した漂白剤を丁寧に拭き取ります。ここでも、軽く叩くような動作で漂白剤を除去し、残さないようにします。
手順2:乾燥
最後に、ヘアドライヤーを利用して、処理した部分が完全に乾くまでしっかり乾燥させます。
ウールやシルクなどの動物性繊維のスーツにカビが生じた場合は、液体の酸素系漂白剤を使用することが推奨されます。基本的な手順は上記と同じですが、漂白剤の形状が異なる点に注意してください。
必要なもの
液体酸素系漂白剤
30~40度のぬるま湯
タオル
ヘアドライヤー
カビがついた部位に液体漂白剤を混ぜたぬるま湯に浸したタオルで軽く叩きながら拭き取り、清水で濡らしたタオルで漂白剤を完全に除去した後、ヘアドライヤーでしっかり乾燥させることが、カビ除去の鍵となります。
スーツにカビが生える原因として主に「湿度」「気温」「栄養源」という三つの条件が挙げられます。これらの条件が揃うと、カビが発生しやすくなります。特にクリーニング後の保管方法に注意しないと、カビが再び発生するリスクが高まります。
湿度が60%を超えると、カビはその高湿度の環境下で繁殖しやすくなります。日本では夏季に湿度が高くなることが多いので、湿度の管理がカビ予防には非常に重要です。
また、気温が25℃から28℃の範囲ではカビの増殖速度が加速します。この温度範囲は人間にとっても快適なため、気温だけでカビを完全に防ぐことは難しいです。
さらに、カビは生育するために栄養が必要です。スーツに付着した食べカスや皮脂、髪の毛などがカビの栄養源となるため、着用後はこれらをしっかりと取り除いてから保管することが推奨されます。
カビの発生を防ぐためには、湿度を適切に保ち、栄養源を提供しないようにすることが重要です。具体的な対策としては、以下のような方法があります。
ビニールカバーの取り扱い
クリーニングから戻ってきたスーツは、多くの場合ビニールカバーがかけられていますが、このカバーは湿気を閉じ込めてしまうため、カビの発生を促してしまう可能性があります。そのため、家に帰ったらビニールカバーを取り除き、通気性の良い不織布カバーに変えて保管することがカビ防止につながります。これにより、スーツを適切な状態で保管できるようになります。
スーツを着た日のそのままクローゼットにしまうのは避けた方が良いです。一日着用することで発生する汗や湿気は、カビが繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。また、食事中に付着することがある食べ物のかすや皮脂も、カビの栄養源になり得ます。これを防ぐためには、次のようなスーツのお手入れ方法がおすすめです。
スーツのお手入れ方法
ブラッシングでスーツについたホコリや汚れを取り除きます。
ウール素材の場合は、スチームアイロンを140℃~160℃で使用し、蒸気を当てて湿気を除去します。
スーツを一晩放置して完全に乾燥させることで、カビの発生リスクを減らすことができます。
このプロセスを実行することでスーツの寿命を延ばし、カビの発生を抑えることが可能です。
クローゼットでの衣類の管理も、カビを防ぐ上で重要です。衣類を詰め込みすぎると、空気の流れが悪くなり湿度が高まり、カビの温床になりやすくなります。可能であれば、不要な衣服は整理してクローゼット内に適度な空間を作るよう心掛けましょう。
除湿剤を使用するのも有効です。クローゼット全体の湿度を下げたい場合は置き型、特定の衣類だけに焦点を当てるなら吊り下げ型の除湿剤が適しています。
クローゼットの定期的な換気も大切です。湿度が低い晴れた日に換気を行うことで、効果的に湿気を排出できます。また、エアコンの除湿機能を活用することも良い方法です。
クローゼットの清掃を定期的に行い、ダニやホコリを除去することも、カビ予防には欠かせません。
まとめ
スーツは大切な投資であり、適切なケアと保管を行うことでその価値を長く保つことができます。カビは無視できないリスクであり、予防策を実施することがスーツを長期にわたって守るための最良の方法と言えるでしょう。